東芝機械、豊田工機、ヤマザキマザックの工作機械3社と日本アイ・ビー・エム、三菱電機および情報システム開発会社エス・エム・エルの6社は1994年12月に次世代の産業オートメーション構築の要となるCNC等のFA制御機器装置一般のオープンアーキテクチャ化を目指したOSE (Open System Environment)研究会を結成致しました。その後このFAオープン化活動に賛同、協力する企業・団体が新たに加わり、現在参加メンバは18社1団体で活発な推進活動を続けて参りました。
ご承知のように既に欧米においてはCNCを中心とした広範なFA制御機器(NC工作機械、ロボット等の制御機器が対象)に柔軟に対応できる幾つかのオープンアーキテクチャの提案が成されております。
OSEC (Open System Environment for Controllers)は前記OSE研究会の成果を纏めて新たに提案する制御装置の略称であります。OSE研究会の精神は『オープン』を目的にしておりますので、そこで議論されたアーキテクチャおよびインタフェース仕様書は一般に公表・提案すると同時に将来のCALS端末用FA制御機器の標準化にも些かでもお役に立てることを願っております。
既にCNCオープン化に関する産・学共同の検討は財団法人国際ロボットFA技術センターに設けられたNCオープン化政策委員会(委員長竹山秀彦神奈川工科大学長)において審議が尽くされ参照モデルの検討も終了し、その活動は新たに設置されたFAオープン推進協議会オープンコントローラ専門委員会に引き継がれて具体的な活動が開始される段階に達しております。
OSE研究会の目的は単なる机上の議論ではなくて、一歩踏み込んだより具体的に機器開発を可能とするために実装規約のドキュメントを提示する事にあります。前記諸会合での関係各位のご議論・ご意見等も十分に勘案しつつ、今回その大要がほぼ纏まりましたので具体的な形にして一般に公表し、同時に次世代制御装置としてのOSECの性能確認のための実証試作機を公開する運びとなりました。これらはパソコンを主体とした新世代CNCが最先端のソフトウエアを搭載し、高度情報ネットワーク技術を駆使して、実用に十分に耐え得る性能と信頼性を発揮することを証明するものと自負致しております。
今回のドキュメントは、昨年9月に公表したOSEC Version 1.0 (OSEC-I)についでOSEC Version 2.0 (OSEC-II)に相当するものでありますが、このドキュメントも『オープン』の性格上一般に広く公開することと致しました。われわれの成果はOSECメンバで独占することなく、多くのユーザ各位およびベンダ各位からの広範なご意見を頂戴してより完全を期したいと考えております。
各位がOSEC仕様に準じた制御装置をお使い戴ければ、よりユーザオリエンテッドで、よりユーザフレンドリなオープンCNCが自由に取捨選択できる真のマルチベンダ環境が創出されものと確信しております。
OSE研究会は今後ともその活動の透明性を確保しつつ、企業や団体・個人等が自由に参画して具体的活動が継承できるように、関係諸機関とも協力して開発体制を整備して参る所存であります。
われわれの今回のOSEC仕様公開がわが国の次世代コントローラ開発の積極的な競合開発環境の整備や関連業界の活性化に少しでもお役にたては誠に幸甚であります。
われわれOSE研究会は世界の技術開発競争にひけをとらぬ成果を挙るべく鋭意、継続的な努力を続けて参りますので、今後とも皆様方のより一層のご支持とご支援をお願い申し上げる次第でございます。
平成8年8月26日
OSE研究会(アイウエオ順)
株式会社エス・エム・エル
株式会社唐津鉄工所
株式会社小松製作所
株式会社ツガミ
株式会社新潟鐵工所
株式会社日平トヤマ
株式会社安永
クボテック株式会社
財団法人機械振興協会技術研究所
ソニーマグネスケール株式会社
東芝機械株式会社
豊田工機株式会社
日本アイ・ビー・エム株式会社
富士機械製造株式会社
富士電機株式会社
ブラザー工業株式会社
三菱電機株式会社
ヤマザキマザック株式会社
ユアサ商事株式会社