アーキテクチャ策定における基本方針
OSECアーキテクチャを策定するにあたり、基本的な方針として留意したのは以下の点である。
- 既存の技術を最新の技術で淘汰する革新的(Revolutionary)なアプローチではなく、既存の技術をベースに最新の技術を利用して発展させる進化的(Evolutionary)なアプローチをとること。
- ソフトウェアを指向したアーキテクチャであること。さらにInteroperability(相互接続性)・Expandability(拡張性)・Scalability(実装規模の選択性)・Portability(可搬性)を保証するために、ソフトウェアを機能や目的に応じて部品化することを積極的に考える。こうしたソフトウェアの部品化は、カプセル化(内部構造の隠蔽)を行いやすくするため、企業や個人が個別に独自の付加価値をつけやすくすることにもなる。
- マルチプラットフォームに対応したアーキテクチャであること。マイクロプロセッサ・システムユニット・ネットワークなどのハードウェア、オペレーティングシステム・通信システムなどのシステムソフトウェアに関して、特定のものに依存したり必須の条件としない。
- 技術革新の激しいPC(パーソナルコンピュータ)のハードウェアおよびソフトウェアの技術や製品を有効に利用できること。デファクト(事実上の)標準品を利用したり、ネットワークインターフェイスカードなどのハードウェア製品や表計算などのソフトウェア製品など、既存の製品が容易に組み込めることはシステムを構成する上で重要な要素である。
- フィールドネットワークでのSERCOSやPLCでのIEC1131など業界で標準化がすすむ制御用コンポーネントへの対応を考慮すること。個々の業界標準を包含したアーキテクチャを目指す。
- 単に生産においてだけでなく、CAD/CAMを含めたエンジニアリング環境との整合性など、開発から設計へという垂直的な業務の流れにおける位置づけを考慮すること。
- 単独で稼動する機械の制御装置としてだけでなく、分散環境下にある生産現場で水平的に利用されることを想定すること。しかも機械の制御装置としてだけではなくCALSなどの統合化された開発生産環境における生産用端末として利用されることも考慮する。