OSEC-Iとの関連
OSEC-Iで得られた成果である『アーキテクチャ参照モデル』と『FA機器記述言語:FADL』はOSEC-IIで次のように発展された。
OSEC-Iにおけるアーキテクチャ参照モデルは設計データから加工までの情報の処理手順を明確にしたもので、生産システムにおける処理を、入力処理を主に行う階層・演算を行い軌跡を創成する階層・制御を主とする階層など7階層に分類している。今までブラックボックスだったCNCを含めての処理階層の分類であり、各階層で処理すべき内容が定義された。しかし実際のコントローラを実装するにはあまりに抽象度の高いモデルである。そこでOSEC-IIでは、抽象的な参照モデル(OSEC-I)、機能とインターフェイスプロトコルが明確に定義されたアーキテクチャモデル、そして実世界のハードウェア・ソフトウェアに直接マッピング可能な実装モデルという3段階での具現化を考えた。制御系ソフトウェアの部品化や操作系ソフトウェアから見た機械資源のモデル(マシンリソースオブジェクト)はここでのアーキテクチャモデルを対象に考えられたものである。
OSEC-IにおけるFA機器記述言語FADLは産業機械の主として制御を目的に考えられた言語で、特に工作機械のためには従来のEIAコードに代わる用途を考えた。EIAコードに欠けていた、表現の柔軟性・拡張性と加工プログラムの可搬性の向上を狙っていたものである。OSEC-IIにおける加工法記述言語OSELはさらに一歩踏み込んで、工作機械を活用していく上での加工のノウハウがソフトウェア部品として流通・調達できるよう、加工法のクラスライブラリ化に焦点を絞った。CAD/CAMとのインターフェイスを考えて、穴・溝といった加工特徴に対しての加工法の与え方の議論がなされた。コンピュータのプログラミング言語への類似を求めるなら、さしずめEIAコードが低級なアセンブラ言語、FADLが柔軟性・拡張性に富んだC言語、OSELがより抽象度が高められ、さらなるソフトウェアの部品化が可能なオブジェクト指向言語C++、といった位置づけである。