ステーションB
ステーションBでは、縦形マシニングセンター(JRV40)にIBM製のパネルコンピュータ(IBM7344、OS/2)を取り付け、パソコンNCを実現している(図 4-5)。
図
4-5 ステーションB全景
パネルコンピュータには拡張ラックのISAバスを介して、東芝機械製のNCボードが接続されている。EIAコードのインタプリタ以降の基本的な処理はNCボードの方で行い、パソコンの方では主としてマンマシンインターフェース関係の処理、ファイル管理、ネットワーク処理などを行っている。
今回のOSECの実証デモで、ステーションBでは主として以下のような項目をオープン化の狙いとしている。
- パソコンで処理しているマンマシンインターフェースのオープン化
OSEC−?では、マシンフレームワークをベースとしたオブジェクト指向方式のマンマシンインターフェースシステムを共同で開発している。このインターフェースでは、上位のアプリケーションソフトの独立性、移植性を高めるために、上位のアプリケーションソフトと下位の制御部をリソースマネージャと呼ぶ機能ブロックで接続することにしている。
今回、ステーションBではOSECの仕様にあわせて、NCボード用のリソースマネージャ部のソフトウェアを開発し、マンマシンインターフェースソフトウェアの交換、カストマイズが簡単にできるようにしている。
これを実証するため、3つのステーションで共通に使用している操作画面用のアプリケーションソフトの他に、OSECのメンバー企業である(株)新潟鉄工所、(株)日平トヤマ殿で独立に別個に作成した独自の操作画面用のアプリケーションソフトをソフトウェア部品として組み込み、このアイコンをクリックしてそれぞれのアプリケーションを実行させる、という試みを行っている。インターフェース仕様に準拠して作成されているので、各ソフトウェアは支障なく動作することが確認された。なお、ソフトウェア開発ツールとしては,IBM VisualAge C++を使用している。
- IEC規格(SERCOS)に準拠した市販のサーボシステムとの接続
ステーションBでは、NCボードにサーボ通信の国際規格IEC1491(SERCOS)に準拠したインターフェースボードが実装されており、光ファイバケーブルを介して市販のサーボアンプ・モータ(インドラマット社製)を制御している。光ファイバケーブルはリング形式で接続され、X,Y,Z 3軸用のインテリジェントなサーボアンプと2Mbpsの通信速度でサーボデータの通信を行っている。NCからは一定のサンプリング周期ごとに位置指令データが送信され、位置ループ以降のサーボループの制御がサーボアンプの方で処理されているが、十分な応答速度で工作機械を制御できることが確認されている。また光ファイバによるシリアル通信を採用しているので、パソコンNCと容易にサーボアンプが接続、分離でき、規格に適合した市販製品を活用するメリットが十分生かされている。
- OSELプログラムとの接続(OSEL−EIA変換方式)
ステーションBではNCボードがEIAコードを実行するのが基本になっているが、パソコンNCの特徴である多様なプログラミング言語へ対応する可能性を検証するためOSEL言語による加工プログラム(実行形式)をEIA形式で変換して実行するためのソフトウェアをパソコン側に組み込んでいる。
- ネットワ—クとの接続とNCデータのリアルタイムなモニタリング
NC稼動状況をネットワークを介してホストに伝達するため、リソ—ス制御ブロックで管理しているNCの内部データをCSV形式に変換し、一定周期で送信するという処理を組み込んでいる。
- IEC1131に準拠したPLCシステムとの接続
ステーションBでは、機械動作の制御をNCボードに内臓された専用のシーケンスコントローラで制御しているが、IEC1131に準拠したPLC管理システムとの結合をはかるため、OSE研究会のメンバー企業である(株)小松製作所殿製のIsaGrafシステムを組み込み、パソコンの内部メモリを介してデータをマッピングすることにより、IEC1131の環境でNCボード内のPLCの状況、たとえばI/Oステータスなどがモニタできるようにしている。
以上に述べたような内容を検証することを目的としてステーションBではサンプルワークの実加工を含めた展示を行っている。
なお、システムの概略の構成は表 4-2のようになる。
表
4-2 ハードウェア構成(ステーションB)
パソコン本体 | Pentium 100MHz
HDD 500MB, RAM24MB
タッチパネル (800×600)
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サーボドライブシステム | IEC1491規格(SERCOS)準拠
通信:光ファイバリング 2Mbps
サーボアンプ・モータ:インドラマット製
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NCボード | 東芝機械製ボード(仮称TOSNUC−P)
ISAバス接続、PLCコントローラ内臓
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