インターネット時代の製造業


目次

OSE協議会について
MECT '97 出展内容
将来展望
参考文献
関連URLリスト

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OSE協議会について

OSE (open System Environment)協議会は、次の2つの目標を掲げ、'94年12月 に研究会として6社で発足した。(i)ネットワークをベースとする将来の生産シ ステムのオープン化のために産業機械のコントローラのアーキテクチャ及び標 準インターフェースに関する研究開発を行なう。(ii)その結果ユーザの生産環 境や目的に応じて産業機械を自由に再構築出来、保守や保全が容易で、ライフ サイクルコストを最小化できるオープンな生産システム環境を実現する。なお、 OSE協議会の研究開発は、実証システムによる検証まで含めて行なうことを旨 としている。

95年6月にはOSEC-I仕様 ( Open System Environment for Controllers - version I)を発表その後 '95年12月からはメンバーを18社1団体に拡大し'96年 8月にOSEC-II仕様を発表、'96年11月には同仕様に基づく工作機械やHMIシステ ムおよび電脳工場システムなどの成果をJIMTOFに出展した。

'97年4月からはOSE協議会と名を改めOSEC-IIIプロジェクトを開始、現在に至 る。OSEC-IIIプロジェクトには、19社1団体2大学からメンバーが参加しており、 作業部会である部品化WGとネットワークWGが研究開発を担当し、会の運営を運 営委員会と幹事会および事務局が、総意の決定は総会にて行なう組織構成を取っ ている(図1)。なおメンバー参加は内外問わず常に開放されている。


図1: OSEC-IIIプロジェクトにおける組織構成とメンバー

OSEC-IIIプロジェクト活動概要


部品化WGの活動概要

OSE協議会で作成した機能モジュールの利用性を高め普及を図ることを目的に、 実用化のための研究を進めている。API (Application Program Interface)の 提案とその有効性の実証を行なう。


ネットワークWGの活動概要

電脳工場(オープンネットワークとデジタル制御技術を組み合わせ、高度情 報化された生産性の高いインターネット時代の生産システムおよびこれに基づ く工場)の研究開発を進めている。Cyber FA Kitの仕様策定とその有効性の実 証を目指す。


MECT '97 出展内容


インターネット時代の製造業は変わる

図2: インターネット時代の製造業を取りまく環境
図2に示すような時代の変化と同調し通信利用による製造現場の情報化など生 産システムは進化を果たす。

電脳工場をつくる

OSE協議会では、誰しもがインターネット時代の製造業界に参加できるために は提案する「電脳工場」が有効であると考え、製造業にとって利益の有る実用 化を目指している。
電脳工場とは
オープンなネットワークとデジタル技術を組み合わせ、高度情報化された 生産性の高いインターネット時代の生産システム、およびこれに基づく工場。 従来の工場をサイバー化したもの。 サイバー化とは、ネットワークを介して生産システム内の装置と情報にアクセ スできることと定義する。また、このアクセス手段を、サイバーリンク(Cyber Link)と定義する。
要素はNCの3乗
(1)数値制御装置 (Numerical Controller)と(2)ネットワーク化された計 算機群による情報処理(Network Computing) (3)上記の2つの要素に支えられる ネットワークを利用した協調作業(Network Collaboration)
OSEC仕様との関係
電脳工場内の標準インターフェース仕様を策定し、実証システムにて有効 性を検証する。これに基づく Cyber FA Kit により、電脳工場を実用化する。

OSECの電脳工場で出来ること

    OSEC仕様オープンコントローラにより容易にネットワークシステムを構築出来 る。このネットワークシステム上で以下の項目が可能となる。
  1. 製造ラインの稼働状況、工具や治具の使用状況をリモートで監視、把握 し統計処理出来る。
  2. 設計部門、計画部門と製造現場の間の情報伝達が迅速化し、明日の段取り作業 の事前検討、マルチメディア作業指示書、工具折損時のツールパスの再生成な ど、リードタイムが短縮される。
  3. 計画部門、管理部門が製造ラインの負荷状況を正確に把握することで再スケジュー リング計算を随時行なうことが出来る。
  4. 営業部門が製造ラインの各種状況を把握することで受注の可能性の検討、納期 の正確な見積、材料の発注の正確な予測が可能となる。
  5. 生産設備のリモートメンテナンスが可能となる。
  6. 製造知識情報がポータブルなものとなり、新ビジネスとして売買可能と なる。
  7. 地球規模の分散生産ライン、技術の外部調達、新しい協業形態が現実のものと なる。
  8. WWW技術を応用することで、上記ネットワークシステムは、どこからでも、全 ての情報に、 同じ画面でアクセス出来る。また、セキュリティ技術を併用す ることでアクセス範囲のコントロールが可能である。

図3: インターネット時代の電脳工場

展示の見所

予想されるインターネット時代の製造業界の姿の中からその一部を具現化した ものを会場に持ちこむ。それはOSEC仕様コントローラ搭載工作機械、計測装置 からなる加工ラインとネットワークシステムから構成されている。イメージさ れるのは、近未来の町工場の日常であり、とある大企業の資材部門であり生産 管理部門である。
サイバーモール (Cyber Mall)
ネット調達を中心に、社外との新しい協業形態を示す。
サイバー製造 (Cyber Manufacturing)
オンデマンド製造知識による社内生産システムの高度化を示す。
サイバーFAキット (Cyber FA Kit)
電脳工場が簡単に構成出来ることを示す。

将来展望

OSEC-IIIプロジェクトでは今後、主として、以下の項目に取り組む予定である。
コントローラとその周辺機器類の部品化によるオープン・コントローラ・アーキ テクチャの研究開発
相互接続性、互換性を持つ部品を組み合わせてコントローラや工作機械などを 自由に設計・製造し、マルチベンダー環境を実現するための研究開発を継続し て行なう。
電脳工場に適応するオープン・コントローラ・アーキテクチャの研究開発
上位情報系に容易に接続、高度な生産システムを構築するためのアーキテクチャ とインターフェース仕様を策定する。また電脳工場を実現するサイバーリンク の研究開発を進める。これらは、実証システムによる有効性の検証の後OSEC仕 様としてまとめ、Cyber FA Kit として実用化する。
標準ツールの活用
OSEC仕様は標準的に使用されるソフトツールとハードを有効に活用して実装さ れる。この結果、開発期間短縮、コスト削減、調達の容易性などのメリットを 得る。

OSE協議会連絡先

株式会社 エス・エム・エル内 OSE協議会事務局
〒106 港区六本木5-16-17ホーマットプリンセス110
TEL: 03-3584-3091 FAX: 03-3584-3241
E-mail: osec@sml.co.jp
URL: http://www.sml.co.jp/OSEC/

参考文献

  1. OSE研究会: OSEC Document Draft 1.0, 1995, http://www.sml.co.jp/OSEC/draft1.0/
  2. OSE研究会: OSEC Document Draft 2.0, 1996, http://www.sml.co.jp/OSEC/draft2.0/
  3. 小林, 岩波: 18社1団体が“新規格”を提案 オープンNCの実証モデル発表, 生産財マーケティング, 1996年10月号, pp.54-59, ニュースダイジェスト社, (1996)
  4. 茅野, 野田: 開放型制御装置仕様OSEC(第1報) FAコントローラオープン化への提案, 1997年精密工学会春季大会学術講演会講演論文集, pp.975-976, (1997) 川村: 開放型制御装置仕様OSEC(第2報) 開放型NC制御装置のためのアプリケーション・フレームワークの検討, 1997年精密工学会春季大会学術講演会講演論文集, pp.977-978, (1997)
  5. 畠山, 上野, 木村: 開放型制御装置仕様OSEC(第3報) 開放型NC言語仕様OSELにおける加工クラスライブラリの検討, 1997年精密工学会春季大会学術講演会講演論文集, pp.979-980, (1997)
  6. 野田, 茅野: 開放型制御装置仕様OSEC(第4報) ネットワークへの接続(インターネット電脳工場), 1997年精密工学会春季大会学術講演会講演論文集, pp.981-982, (1997) 第18回JIMTOF報告, 日経メカニカル, 96.12.23号, No. 496, pp.52-69, 日経BP社, (1996)
  7. 世界のデータを活用してモノづくり, デジタル・ファクトリ, 1997年4・5月号, No.1, 1997, pp.41-69, 日経BP社, (1997)
  8. 野田:見本市のここに注目しよう「パソコンNC」, ツールエンジニア, 1996年11月号, Vol.37 No.12, 1996, pp.36-37, 大河出版, (1996)
  9. 野田, 吉田:加工現場のインターネット使用の有効性, 機械技術, 1997年6月号, 45巻6号, 1997, pp.56-61, 日刊工業新聞社, (1997)
  10. 浅野:オープンなシステム環境を実現する ``OSEC'' とそのAPI, M&E, 1997年9月号, 24巻9号, 1997, pp.142-151, 工業調査会, (1997)

関連URL


osec@sml.co.jp

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